エコな記事。産廃「麦芽かす」からエコ堆肥 静岡のJA、地ビール醸造所が連携

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産廃「麦芽かす」からエコ堆肥 静岡のJA、地ビール醸造所が連携
5/11(水) 11:20配信

日本農業新聞の記事

牛ふん堆肥にモルトかすを散布する秋田さん(奥)と高梨さん(静岡県三島市で)

全国で地ビール製造場が急増し、醸造過程で発生する麦芽の絞りかす(モルトかす)の処分が課題となっている。静岡県のJAふじ伊豆三島函南地区本部は、地元のビール醸造所と連携して、モルトかすを混ぜ込んだ堆肥作りに挑戦している。持続可能な開発目標(SDGs)の観点から産業廃棄物の有効活用を進めながら、高品質な作物を栽培するための土づくりに力を入れる。

同地区では昨年7月、日本肥糧とモルトかす混合堆肥の効果を検証した。結果、通常の堆肥より発酵が著しく進み、土壌の団粒構造が増した。通気性や排水性が優れた土壌は作物の生育に適し、食味の向上も期待できる。

同本部は5月、三島市の堆肥舎で同市のクラフトビール専門店・ティールズブリューイングが持ち込んだモルトかす200キロを、牛ふん堆肥約4トンに散布した。有用菌の活動を促し、栽培に悪影響をもたらす細菌の活動抑制効果を検証する。

「多くの醸造所が処分に困っている」
ティールズブリューイング代表社員の秋田克彦さんは「ビール醸造所が急激に増え、多くがモルトかすの処分に困っている。農業が活発な地域で、このような取り組みができてうれしい」と話す。

野菜を生産する高梨祥史さんは「昨年度、セロリで萎黄病が流行し打撃を受けた生産者は少なくない。土壌消毒による食味の減退を気にせず、病害を防除できるといい」と期待する。

国税庁によると全国の地ビール製造場数(2020年度)は、5年前の2倍以上の405に増えている。