国内最高齢 20歳超え乳牛 今も現役

日本農業新聞からの記事。20歳を超えて今も現役の乳牛がすごい。

通常は2,3産がこの乳牛は16産という。

乳牛は大規模化、効率化によって、品種改良され、牛舎の狭い飼育スペースに繋がれっぱなしというケースが大半。

しかし、ここの農家さんは、牛の健康を考えた飼育方法(自家産の餌、年間を通した放牧)を実施している。

 

年間平均乳量約10㌧ 経営支える

国内最高齢 20歳超え乳牛 今も現役

岩手県葛巻町に、20年にわたり牧場経営を支えてきた乳牛がいる。中六角保広(52)が経営する中六角牧場で、2000年2月19日に生まれた乳牛「リバディーファーム プレステージアウトサイド マスター」だ。

2019年8月に16産目の子牛を生み、現在も現役で搾乳し、牛群検定を受けている。登録牛としては国内最高齢の現役牛として同牧場を支えている。
第38回葛巻町牛群改良検定組合通常総会では、生涯乳量14万5290㌔で、19年度の特別優良牛として表彰された。乳牛の供用年数は5年程度で、2、3産というのが一般的。10年を超えて現役の牛は多くない。1頭当たりの年間平均乳量は約10㌧で、生涯乳量としても東北でトップクラスだ。
同牧場は、独自の育成法、牛群改良などが評価され、18年春の黄綬褒章を受けている。育成期間は自家産の餌を与え、年間通して放し飼いすることで牛の健康状態を維持するよう心掛けている。
中六角さんは「この牛は乳量も多かったわけでもなく、生まれてからしばらく目立つ存在ではなかった」と当時の様子を話す。一時は市場に出したこともあったが、売れずに連れて帰ってきたこともあった。しかし、10歳、9産目の頃に生涯乳量が80㌧になり、中六角さんの中での存在感が増してきた。もともと乳量は多くなかったが、14歳の時に初めて年間乳量が10㌧を超えた。「この歳で、この乳量を出したことに驚いた。自分の酪農家としての人生で、これからも巡り合えない牛だ」と中六角さん。「酪農人生の3分の2を共にしてきたので、これからも大切にしていきたい」と笑顔を見せる。
JA東部営農経済センターの辰柳慎一さんは「この牛が生まれた時の登録を自分がしていた事が分かり、驚いた。飼養管理をしっかりしているが、20歳を超える現役の乳牛は自分も初めて。これからも見守っていきたい」と話す。

日本農業新聞 2020/5/14より