紋別市の酪農家ら 地域振興の火付け役に

日本農業新聞の記事をみて。紋別市の酪農家らの活動が素晴らしいなと思った。

大企業や経営戦略の一環でこういった活動するところは多いが、家族経営主体で365日が仕事の酪農家らが、地域振興活動をすることは並みの努力では成しえないと思う。

酪農家としての誇りと、地域、消費者への感謝といった、強い想いが行動の源になったのだと思う。

 

子どもら対象に農業塾
紋別市 ふれあいネットワーク

紋別市の酪農家5戸でつくる「ふれあいネットワーク」は2003年から年1回、メンバーの牧場で子どもらを対象に「もんべつ農業塾」を開く。搾乳体験など通して、同市の基幹産業である酪農への理解を深めている。

同ネット代表の田村登志文さん(57)が設立から運営に携わってきた。同塾の塾長も務めている。4戸の酪農家と消費者に酪農を理解してもらうためにどのような方策があるかを話し合い、将来の消費者になる子どもらに酪農への理解を深めてもらうことが、牛乳の消費拡大とつながると始めた。

初年は公共宿泊施設での1泊2日の体験学習。2年目は少人数に分散してのホームステイに取り組んだが、365日稼働する酪農との両立は大変と実感。体験学習を継続していくため、オホーツク管内湧別町で酪農教育ファーム認証牧場を運営しているレークランド久保牧場の久保隆幸さんからアドバイスを受け現在の形になった。

JAオホーツクはまなすが事務局、市、網走農業改良普及センター紋別支所、NOSAIオホーツク紋別支所がちらし作製や募集などを担当し、サポートする。

搾乳や育成牛舎の見学、哺乳や搾乳体験、牛を観察した後のクイズなどを通じ、酪農について学んでもらう。牛の乳搾りと獣医体験では、牛には四つの胃袋があることなどを確認。獣医師が指導し、児童らは聴診器で心臓の鼓動を確認する。バター作りでは、隣接する滝上町産の小麦粉で焼き上げたパンとバレイショと一緒に味わい、地産地消へおの理解を深める。親らも同伴し、幼児から中学生約30人が参加する。参加者の中には牛乳を好んで飲む人や毎年訪れるリピーターもいる。酪農ヘルパーになった塾生もいる。

ネットワークのメンバーも生乳を出荷するだけの経営から、酪農の魅力をアピールする清潔な生産環境を整えた。参加者が喜ぶ姿を見て達成感が湧き、労働意欲にもつながるという。生産者と消費者が交流することで、より安全、安心な牛乳を提供していくという考えが強くなっている。

田村さんは乳牛約180頭(経産牛100頭)飼育し、指導農業士も務める。「消費者と信頼関係を築くため、背伸びをしないでできることを毎年開くことが大切。年代が変わっても最初のころを忘れず継続したい」と話す。「今後、新就農者や農業従事者となって仲間が増えることを楽しみにしている」と期待を寄せる。

今年の開催は、新型コロナウィルスの影響で1番牧草の収穫が始まる6月上旬に決定する予定だ。

日本農業新聞 2020/05/15より