和牛 市場独自策が成果

日本農業新聞の記事。

新型コロナウィルスの影響で苦境に立たされている和牛。各地の市場で独自の施策が成果を上げている。

こういったピンチの局面を打開できる業界、地域、団体は素晴らしい。

国だけ頼るよな組織や業界には、将来はないと思う。

 

日本農業新聞 2020年06月22日

[新型コロナ] 和牛相場16%上げも 市場独自策が成果 飛騨牛=購買者に助成金 神戸ビーフ=一定価格で購入

新型コロナウイルス禍による和牛相場の低迷が長期化する中、枝肉の取引活性化に向けた食肉市場での独自対策が成果を上げている。県の事業を活用した購買者への購入助成や、一定価格での買い取りなどを通じ、購買意欲を刺激。相場が上向き、生産者の手取り確保につながるなど、注目を集める。(斯波希)

岐阜県は、県内の2市場でせり取引される「飛騨牛」の購買者に対し、1頭当たり10万円を助成する「飛騨牛市場活性化緊急対策事業」を5月の補正予算で措置。対象期間の5月中旬から6月中旬までのせりでは、岐阜市食肉地方卸売市場で、枝肉の加重平均価格(A5、去勢)が1キロ当たり2794円と、対策前の4月を16%上回った。

同市場、飛騨ミート地方卸売市場の2市場でせり取引される「飛騨牛」を対象に行ったもの。計8回のせりで657頭が取引され、1頭当たり価格でも、対策前に比べ約28万円高と、助成を上回る上げ幅となった。

県は「目に見える成果があった。手法を変えた生産者支援として有効」(農産物流通課)と手応えをつかむ。県肉用牛協会の辻直司会長は「今回の対策によって、停滞していた流通が回復傾向となった。県の基幹産業として飛騨牛を応援しようという購買者の心意気も励みになる」と話す。

兵庫県姫路市の和牛マスター(姫路市食肉地方卸売市場)の荷受会社・姫路畜産荷受は、相場低迷で打撃を受ける生産者への支援に向け、「神戸ビーフ」を一定価格で買い取る独自の緊急対策を5月に始動した。

借り入れによる準備金を財源に、1キロ2500円(税別)で買い取り、冷凍保存。県内の流通業者らでつくる神戸肉流通推進協議会と連携しながら、需要動向に応じて販売していく計画だ。

緊急対策を打ったことで購買意欲が刺激され、せりでも取引価格が安定する効果があったという。4月中旬以降、加重平均価格(A5、去勢)が1キロ当たり2000円を割る日があったが、対策を始めた5月は同2443円になった。

群馬県食肉卸売市場は、停滞する高級部位の荷動き回復に向け、JAグループや地元企業向け、運営する直売所での県産和牛のロースやヒレなどの販促を強化。「在庫がたまるのを防ぎ、購買者が次の枝肉を仕入れられる環境をつくり、牛の出荷を止めないようにしていく」と狙いを話す。