いちご農園 新規就農者のチャレンジ
埼玉県のいちご農家。新規就農2年目にして、農家カフェをオープン。いちご狩りなどの観光農園にも取り組み、多彩な経営っぷりを見せている。
おそらく就農前に、相当準備や構想を練っていたのだと思う。
[未来人材] 25歳。イチゴ農園と 多彩な料理でファン獲得 フルーツの魅力発信 埼玉県三郷市 岡永浩奈さん
日本農業新聞より 2020年07月26日
栽培したイチゴを使った料理でみんなをもてなしたい」。埼玉県三郷市の認定農業者で、イチゴ農園を経営する岡永浩奈さん(25)は、就農2年目の今春、念願かなって農家カフェ「ICHINA」をオープンした。自家栽培のイチゴをはじめメロンや桃、パイナップルなど、全国のフルーツを使った料理や菓子で、地域の人たちに評判の店になっている。
接客が好きでカフェを持ちたいという高校時代からの夢は、農家になったからこそ実現できた。母親が営む農産物卸売会社を手伝っていた時に出会った、茨城県の農家が栽培した農薬不使用のイチゴの味に感動。農業に興味を持つようになり、2018年8月に就農した。その農家から指導を受けて、ハウス5棟(10アール)でイチゴ「とちおとめ」を栽培する。
「本来の味を引き出せる」と、農薬不使用にこだわった。収穫期間の1~5月、スーパーへの出荷や店頭での販売、イチゴ狩りの運営に取り組む。現在、秋からの栽培の準備に追われながら、カフェを切り盛りする。
イチゴ狩りで「おいしい」と喜んでくれる人たちの姿が、やりがいにつながる。その味を生かそうと農家カフェを2月にオープンした。しかし3カ月もたたないうちにコロナ禍の影響で休業。ショックだったが、冷静に仕事を見つめ直す良い機会でもあった。焦らず、できることを一つずつ積み上げて、店を軌道に乗せる、という思いになった。
緊急事態宣言解除後にカフェを再開すると、人気メニューのファンが、少しずつ戻ってきた。このメニューは、生クリームとイチゴを食パンで挟んだ「いちごサンド」。甘さを控えめにして生果の風味が楽しめる。「いちごパフェ」も好評だ。これらに使うイチゴは収穫期間が限られ、年間を通じて店で使う量を補えない。そこで指導を受けた農家のイチゴも使う。この他、茨城県産のメロンや福島県産の桃、沖縄県産のバナナ、パイナップルなどを使ってメニューに幅を持たせた。
「イチゴだけでなく全国のおいしいフルーツを使ったメニューで、それらを紹介するアンテナショップのような役割りを果たしたい」と、張り切っている。
農のひととき
実ったイチゴの中で、高糖度のものを見つけ出すのが好きだ。形や色合いでその特徴が分かるようになった。糖度20以上になるものを探して、イチゴ狩りに来た子どもたちに食べてもらう。「こんなに香りがあって甘いんだ。すごくおいしい」と、満足した表情を見るとうれしい。この瞬間が、農業をやっていて良かったなと実感する。