寒さに応じた多重層のビニールハウス

日本農業新聞さんの記事

2層フィルムはよく見ますが、5層まであるとは、、、

弊社の大型ビニールハウスにも、うまく活用できそうな情報でした。

 

 

寒さに応じハウスの層調整 無加温栽培で目安提示 道総研など実証
2021年02月12日 日本農業新聞

北海道立総合研究機構(道総研)などは、冬季無加温のビニールハウス栽培で、気温に応じてビニールの層を調整し、葉菜類を栽培できる条件をまとめた。厳冬期の北海道など、豪雪地帯でも無加温で野菜が生産できると見込む。追加の装備費用もハウスの建て直しに比べて抑えられ、農家の所得も上がるとみる。地域の積雪度合いに応じた、適切な耐雪構造との組み合わせを推奨する。

北方建築総合研究所などと協力し、ビニールを地域の寒さに応じて1~5層に調整することでパイプハウス内の保温機能を強化できることを示した。

これまで北海道の大部分では暖房なしの農業用パイプハウスで1年を通して野菜を作ることはできなかったが、無加温ハウスを活用すると農家は作型を増やせるようになる。零下5度以上の場合、カラシナ、小カブ、小松菜、チンゲンサイ、ベビーリーフ、水菜、リーフレタスなどが栽培できる。

道総研は、ハウス内の最低温度を零下2度以上、零下5度以上、零下10度以上にするために必要な装備をそれぞれ示した。3層からはハウス内にトンネルを作り、4層の場合は内張りを追加、5層ではトンネルを2重にしている。

道北地域の比布町で2020年1月に行った実験では、外気の最低気温が零下22・3度まで下がっても、4層ハウス内は零下2・05度、5層の場合は零下1・55度までに抑えられた。道南地域の試験場で行った無加温4層ハウスの実験では、同ハウス内の温度を零下2度以上に設定。12月中旬と1月上旬、4月中下旬に収穫した結球レタス「春P」で、いずれも道平均収量の10アール当たり3トンを上回った。

豪雪地帯の上川地域の試験場でも実験。同様のハウス内で零下5度以上にして栽培し、3月下旬~4月上旬に収穫したホウレンソウ、小松菜、水菜、チンゲンサイで道の平均10アール収量と同等以上だった。

道総研によると、無加温ハウス1棟の追加整備コストは耐雪機能の強化と併せて60万円ほどで、「建て直すより大幅にコストを減らせる」。上川の試験場の試算では作型の追加と合わせ、農家は春の農閑期に10アール当たり32万~143万円の所得増につながるとした。

道総研上川農業試験場の高濱雅幹主査は、冬季の北海道でも低コストで野菜を生産でき、農家の所得向上につながると期待。「周年で雇用する、農業法人の従業員への所得対策にもなる」と話す。道総研は年度内に「葉根菜類冬どり栽培マニュアル(21年改訂版)」をホームページ上で公開。地域別に必要な保温装備を示したマップなどを新たに盛り込む。