観光業と農業のマッチングが実を結びはじめる。

日本農業新聞の記事。人手不足の農業と休業を余儀なくされた観光業とのマッチングが徐々に実を結びはじめたようでうs。

こういった取り組みに成果が伴ってくるのはうれしいことです。

 

観光業から農業へ、新型コロナで進む人材マッチング
2020/6/10 20:44 (2020/6/11 6:17更新)

新型コロナウイルスの影響で農業の人手不足が表面化する中、休業を余儀なくされた観光業などから「助っ人」を受け入れる動きが盛んだ。業界の枠組みを超えて人手不足の解消と雇用創出を目指す取り組みは、マッチングを支援する企業の後押しもあり、徐々に実を結びつつある。

「地面ギリギリの根元から収穫して。害虫がいたら葉っぱを落とします」。広島市で小松菜などを作る「ルンビニ農園」のビニールハウス。代表の今田典彦さん(40)は5月中旬、1カ月ほど前に臨時で雇用した旅館の従業員に優しく声をかけながら、みずみずしく育った小松菜の収穫作業にあたっていた。

同園は新型コロナの影響で学校給食用などの販売先を失った一方で、外出自粛で個人向けの小口需要が急増し、新たに野菜の袋詰め作業が必要になった。4月に栽培面積を広げたばかりで収穫や種まきの負担が増しており、人手不足に陥った。

今田さんは新型コロナの影響で休業した取引先の旅館の従業員6人に声をかけ、4月中旬から臨時で雇用した。旅館に住み込みで働いていた従業員のために空き家も借りた。「近隣の農家でも助け合いの輪が広がっている。食材を扱う旅館の料理人などに生産現場で働いてもらうことは農業界にとっても大きなメリットだ」と話す。

働く側も初めての農業に戸惑いつつも、新たな挑戦に目を輝かせる。

キャベツが名産の群馬県嬬恋村。農業人材派遣「シェアグリ」(東京・渋谷)などの仲介で、フリーターの男性(21)が5月、村内のキャベツ農家で働いた。新型コロナの影響で外国人技能実習生の派遣が中止されたキャベツ農家に、沖縄県でのリゾートバイトの職を失った男性が助っ人としてマッチングされた。

収穫の日は午前3時に起きて作業することも。男性は「品質に影響するので作業は気を抜けないが、自分の働きが助けになることがうれしい。やりがいのある働き先で感謝している」と話す。

もともと農業の人手不足は深刻だ。農林水産省によると、2019年の農業就業人口は前年比7万2千人減の168万1千人。10年前と比べて100万人ほど減った。頼みの綱だった農業分野の外国人技能実習生も、新型コロナの影響で5月20日時点で約2500人の来日の見通しがたたず、今後も不透明だ。

そこで注目されているのがコロナによって職を失った人材とのマッチングだ。シェアグリは4月中旬、観光地向け求人サイト運営「ダイブ」(東京・新宿)と提携し、観光業で働く若者と人手不足の農家をつなぐサービスを始めた。6月からの派遣が決定した人も含め、現在20人をマッチングした。

農家の一時的な働き手として旅行者を紹介する「おてつたび」(東京・渋谷)も、売り上げの減少などで従業員の継続雇用が難しくなった観光業や飲食業の人材を、農家に紹介するサービスを5月に始めた。フリーランスや大学生など幅広い業種からすでに60件ほどの応募があったという。

可能な限り同じ都道府県内でマッチングすることで感染拡大の防止にも注意を払っているという。永岡里菜社長は「助っ人側に地域の事業者や資源などの魅力を再発見してもらうことにもつながる。安全安心に配慮しながら、業界を超えて双方の困り事を解決したい」と話している。