昨年の台風被害 農業用施設は今どうなっているのか?

昨年の台風の記事をピックアップしてみた。

台風被害を受けた大型ビニールハウスや農業用ハウス倉庫は今、どうなっているのだろうか?

 

台風19号・石巻地方 農作物被害は13億円余
県 窓口置き早期支援
石巻日日新聞 2019年11月8日(金) 8時28分

東日本を中心に大きな爪痕を残した台風19号に伴い、県内でも農水産関連で甚大な被害が発生した。農業関係被害額は、475億5283万円、水産関係被害額では5億9千万円。石巻地方でも水稲や大豆、セリなどの作物被害や水産施設の被害が多数発生しており、現在も被害調査が進められている。県などでは各種補助事業を活用して早期の支援にあたっているほか、補助制度のないものは国に要望していく。

◇収穫期の大豆など影響

県農政部のまとめでは、農地・農業用施設被害が、石巻市、東松島市を含む県内33自治体で発生。農地被害は2188カ所、道路被害が1339カ所、水路被害は2456カ所で、被害総額の8割近く(約432億円)を占めている。

農業関係施設被害では、鉄骨ハウスやパイプハウス、農業用倉庫、集出荷施設シャッター被害が計383棟。各種資機材も浸水などの影響を受けた。

農作物の被害総額は25億8140万円と甚大で、石巻地方だけで13億円を超す。収穫時期直前だった転作の大豆をはじめ、ネギやセリ、白菜、ちぢみほうれん草などが冠水被害をもろに受けた。果樹類も強風による落下被害が出ている。

水稲関連は、米の収穫が9割近く完了していたものの、残る1割ほどが強風や浸水の被害を受けたほか、出荷前に倉庫などで保管されていた米が水に浸かるなどの事案も。収穫後の米の浸水被害に対する補助制度がないため、県が国に支援策を求めていくという。

石巻市を中心に採卵鶏、肉用鳥、乳牛、肉用牛の死亡被害や畜舎浸水など畜産関連でも影響が出ており、県全体の被害額も3億2千万円にのぼる。

現在も各自治体で被害調査を継続し、県は各農業振興部や農業改良普及センター、県庁農業振興課に「営農相談窓口」を置き、生産者の被害把握や支援対応にあたっている。

◇水産被害は全県の4割

石巻地方の水産業関連被害額は計約2億5千万円で、県全体の約4割。石巻市は約1億5千万円ともっとも大きな被害が出ている。

同市の内訳で多くを占めるのが、水産施設被害の約9500万円。2カ所のさけふ化場が浸水し、例年10―11月に行う採卵作業への影響が懸念されている。定置網や荷さばき施設、水産加工業者でも被害が確認された。

出荷時期であるカキの落下の被害額は約3200万円。養殖棚やカキ処理場も影響を受けたが、災害規模に比べて小さく留まった。養殖業はノリの乾燥機に被害があった。

東松島市はカキの落下、定置網の破損などで被害額は約6600万円と試算。女川町は約2800万円で、カキの落下約1800万円、ギンザケ養殖施設約970万円。

各市町で土砂による漁港の埋そくや海岸施設への漂着物などが確認されており、県は詳細な調査を実施中。また、被害を受けた事業者らに対し、国との調整のもと支援制度の活用を促していく。