ビニールハウス内などの運搬作業が楽に。小型ロボット

農作業をサポートするロボット自動追従台車。

大型機械のロボット化が進む一方、こういった小さな機械のロボット化も増えてきた。

普及するなら、価格面がまだまだかなぁと、、、。

 

運搬作業が楽に 自動追従台車 多才な“相棒”
日本農業新聞 2020年06月29日

 

ビニールハウス内などで人の後ろに付いてきて、収穫物や資材の運搬をサポートするロボットの開発が進んでいる。台車を動かしながら作業する手間を解放するシンプルな製品から、ハウス内の環境データの測定や、自動走行機能なども兼ね備えた製品まで多彩だ。農作業の新たな“相棒”に期待が高まる。(川崎勇、北村碧)
センサー内蔵 データ測定も

追従型台車ロボット「アグビー」で収穫や資材の運搬を軽労化する(東京都目黒区で)
自動追従機能がある運搬台車は、装置に取り付けたセンサーで人の動きを察知して停止・走行する。果菜類などの収穫や資材の運搬で、コンテナを積んだ台車を動かす手間を省けるのが利点だ。畝間を通れる大きさで、積載重量は100キロとする製品が多い。

農業用ロボットの開発を手掛けるagbee(アグビー、東京都渋谷区)は、追従型運搬ロボット「アグビー」を実証中だ。車体の前方にある二つのカメラで人の姿を認識し、追従する。遠隔操作や自律走行も可能だ。

大阪府で実証済みで、5月から都内で実証試験を始めた。野菜や資材運搬で使う目黒区の栗山貴美子さん(31)は「重い荷物の移動やかがむ作業が楽になる」と話す。小型化し価格は90万円以下に抑える計画で、都市部の生産者を中心に普及を目指す。同社は「農家の“相棒”として、体の負担を減らすだけでなく、楽しく農業ができるロボットにしたい」と意気込む。
銀座農園(中央区)は機能性を高めた自走式電動運搬ロボット「FARBOT」の開発を進める。運搬の他、温・湿度や二酸化炭素(CO2)濃度の測定、収穫個数の測定が可能。可変施肥や草刈り、収穫適期判断、収量測定などもできるようにしたい考えだ。
悪路でもすいすい 機能絞り低価格

作業者に追従する小型自動運搬装置「キューファーム」(東京都荒川区で)
最低限の機能にして価格を安く抑えたのが、自動運搬装置「CuFarm(キューファーム)」だ。前進だけの走行に絞る。運搬器具などの製造・開発を手掛けるCuboRex(キューボレックス、新潟県長岡市)が販売。農地やぬかるんだ田も走行できる突破性の高さが魅力だ。

アルミ製のフレームにクローラーを一つ、車体の前方にタイヤを二つ付けた。作業者が車体に乗り、けん引するパレットに載せたコンテナに収穫物を入れて運ぶ使い方もできる。コンテナを自動で降ろす機能も付け、作業負担を減らす。

同社は「他社の既存製品は高性能だが高額。必要な機能に絞り、低価格を実現した」とアピールする。価格は20万円から。フル充電で2、3時間の走行が可能だ。

生産性向上 農薬散布サポート

施設トマトで実証を進めるDoogとSUSの「サウザー」(Doog提供)
物流や製造業者を中心に普及が進む自動運搬ロボット「THOUZER(サウザー)」を農業に活用する動きもある。Doog(ドーグ、茨城県つくば市)とSUS(東京都中央区)が開発し、これまでに400台を販売した。ラインテープに沿って追従する機能が特徴。同製品を農業向けに売り出そうと、昨年度からキャベツやトマトの収穫などで実証する。積載重量は他社製品よりやや多い120キロまで対応。

運搬作業に加え、防除のサポートに役立つロボット「MYDONKEY(マイドンキー)」の開発を進めるのは、日本総合研究所などが設立した「DONKEY(ドンキー)」。農薬散布用のホースを固定し、自動走行で散布できるようにする。稼働記録や作業データを集め、栽培を支援するサービスも予定。同社は「生産性向上と事業拡大に貢献していく」という。