竹林整備で循環農業を 建設会社社長のチャレンジ

竹林整備と農業の循環が素晴らしい。

ぜひ、事業化にこぎつけてほしい。

 

SDGsにつながると評価
地域の資源を活用/竹のチップを畜舎に敷き ふん尿を混ぜた有機肥料販売

2022/08/02

竹林整備を推進させるため田原市大久保町の建設会社の社長は、竹のチップを畜舎に敷くビジネスモデルをつくり、畜舎のふん尿にチップを混ぜて製造した有機肥料の販売を加え事業を進めている。地域の資源を活用して循環させることがSDGs(持続可能な開発目標)につながると評価を受けた。竹イノベーション研究会(事務局・福岡市)が3日と9月8日の2回にわたり開くオンラインセミナーで、こうした取り組みを報告する。

田原市の建設会社社長が取り組む/3日と9月8日オンラインセミナーで成果報告
■優秀賞
このビジネスモデルをつくったのは「冨田組」の冨田雅則社長(70)。伐採した竹をチップにして畜産農家の畜舎に敷き、有効に活用したシステムだ。今年2月の愛知環境賞で「環境負荷の低減と循環型社会の形成に大きく貢献する」と評価され、優秀賞を受賞した。

さらに、所有するたい肥舎で別の畜産農家の豚舎、牛舎、鶏舎から出たふん尿にチップを加えて発酵させた有機肥料の販売について販売会社を通して畑作農家に売る仕組みを考え、発展させた。

今のところチップの販売先は畜産農家数戸。中でも豚の肥育や肉質は畜舎におが粉を敷いていた時と全く変わらなかったという。有機肥料の取引先も畑作農家数戸。販売後、ずっと利用しており、好評だそうだ。

冨田さんが、竹林の整備が進まないことを危ぐしたのがモデルを考えたきっかけ。2008年ごろから伐採を手掛けるようになり、荒れた竹林が多いことに気づいた。放置すれば生態系に影響を与え、大雨の時に土砂流出を起こす恐れもある。

ネックは高い整備費。新しい機械を導入し、伐採した竹を現地でチップにするなど省力化を進め、事業費を抑えた。一方で豊橋技術科学大学の六次産業化の講座で学び、チップの利用方法も模索した。

市は当時、農業産出額が全国トップ。畜産農家は木材加工工場が減少したことでおが粉の調達が難しく困っており、チップを売り込んだ。これとは別の畜産農家から出たふん尿の提供があり、有機肥料の製造、販売に結びついた。

■整備促進
整備費は当初から約40%削減したものの、まだ手ごろの値段といえないのが現状だ。冨田社長は「チップや有機肥料の購入先を増やし、付加価値を付けて高く売れれば整備費がさらに下がり、整備促進につながる」と判断し、このビジネスモデルを進める一方、事業を軌道に乗せるため改善も検討していく考えだ。