緊急宣言下「バタ-不足」 メディア側の問題だろ。

生産者や事業者が情報を分かりやすく発信することはもちろん大事だが、そもそも日本のメディアとメディアユーザが負(ネガ)情報を発信しすぎ。これが根本的な問題だと思う。

どうでもいいネガ情報で収益を上げているメディア会社や個人がいなくならない限り、こういった問題は解決されないと思う。

 

 

[新型コロナ] 緊急宣言下「バタ-不足」 消費者の疑問相次ぐ 酪農理解へSNSさらに発信

日本農業新聞より 2020年07月28日

 

コロナ禍による人手不足の中、懸命に乳牛を世話する石垣さん(北海道稚内市で)
コロナ禍での外出自粛で家庭での菓子やパン作りが増えて家庭用バターが一時的に品薄となったことを背景に、酪農・乳業の理解に向け、生産者や自治体などがインターネット交流サイト(SNS)などでの情報発信の重要性を再認識している。「牛乳の需要は減ったのに家庭用バターがなぜ足りないのか」という消費者の疑問や批判の声が相次いだからだ。今、品薄感は解消しつつあるが、コロナ禍で今後の情勢が不透明な中、専門家は、分かりやすい情報発信の必要性を指摘する。(望月悠希)
生産者 ネット上の誤解理解求めて投稿
春先から、コロナ禍で家庭用バター需要が急増し、首都圏や関西圏などでは、店頭で入手しにくい状況になり、消費者からは疑問の声が相次いだ。

東京都在住の会社員の30代女性は「新型コロナ禍で牛乳が余っているという話は聞くので、バターにしてくれたらいいのにと思う。供給を工夫できないのか」、別の30代女性も「牛乳は不足しないのに、バターが不足するのが不思議」と話す。

SNSでは「バター不足は人為的に作り出しているのではないか」「なぜ増産しないのか」など批判の声も。「バター不足いつ解消されるのよ?」と、牛乳需要分をバターに仕向けることを促す投稿に900件以上のリツイート(再投稿)と3000件以上の「いいね」が付いた。

「悲しいし残念だ」──。北海道稚内市で乳牛約150頭(搾乳牛80頭)を育てる石垣一郎さん(39)は、SNSでの批判が明らかに誤解であればコメントを書き込む。今回も、指定事業者などを批判する投稿も目にし、「生乳は生産調整が難しいことや流通・加工の仕組みなどをもっと知ってもらう必要がある」と強調する。

石垣さんは家庭用バター不足が指定団体制度への批判に転じ、畜産経営安定法改正に結び付いた事態を思い出す。数年前、バター不足が指定団体制度のせいだとするテレビ番組が放映された時、SNSに「バター不足に闇はない。ホクレンや農協が出し惜しみしてバター不足している訳ではない」(原文通り)と投稿。4400リツイートの反響が広がり、酪農家らも応援が寄せられた。

鹿追町で乳牛250頭(搾乳牛120頭)を飼育する高田泰輔さん(36)は、牛乳・乳製品の生産や流通の仕組みは多くの人に知られていないことから「消費者が、バター不足などの背景が分からないのは仕方がない。分かりやすく伝えていくしかない」と話す。自身は顔の見える生産を目指しており、インターネットなどを通じ、自分の生乳を使った商品の情報発信に力を入れている。関係団体などによるテレビ広告などでの発信の必要性を訴える。
行政 「なぜ」への説明「分かりやすく」
今回バター不足でスーパーには、輸入の海外産バターが置かれた。今後こうした国産不足が続けば、輸入バター増加につながる懸念もある。

新型コロナ禍で今後の生乳需給の見通しは不透明だが、北海道は「消費者の力は欠かせない」(畜産振興課)と強調する。SNS上では、批判も集まった一方で、学校給食が止まり苦しむ酪農家に対しての、応援メッセージも寄せられた。道やホクレンは消費者が牛乳などを飲む様子をSNSに投稿する企画を実施、消費者からも投稿が相次いだ。道は「牛乳の需要が落ち込む中、生乳生産のピークを乗り越えたのは消費者の協力のおかげでもある」(同)とする。

道畜産振興課は家庭用バター不足についてもツイッターで「バター不足のなぜ」と題して投稿するなど発信を強化。乳業メーカーが生乳をバターや脱脂粉乳の製造に振り分けたこと、家庭用と業務用バターの違いなどを分かりやすく説明する試みに乗り出した。牛乳消費拡大運動をする前提として、バター不足に対する誤解を少しでも解こうという狙いだ。

北海道大学の清水池義治講師は「需給が目まぐるしく変わる中で、消費者の意識が追い付いていない現状がある。新型コロナの状況次第で同様の事態が起こる懸念もあり、消費者に起きていることを分かりやすく伝える努力が必要」とする。
家庭用欠品「ほぼ解消」
緊急事態宣言期間、飲食店の営業自粛や学校給食の停止などで飲用向け生乳の需要が大幅に減少。ホクレンや乳業メーカーは、バターや脱脂粉乳などの乳製品向けの加工を強化した。ただ、バターは国内消費量の大半は業務用で、家庭用は約2割。家庭用と業務用とは工場の製造ラインや流通形態が別で、大きさや包装も異なり、家庭用需要の急激な伸びに追い付かなかった。業務用を家庭用として販売する動きもあった他、よつ葉乳業も、一時は家庭用バター製造を前年比170~200%に増やすなど、メーカーが生産を急いだ。

農畜産業振興機構(ALIC)によると家庭用の欠品は徐々に改善、6月末時点では「ほぼ解消された」とする。