ハウスの早期再建など大雪被害に支援策決定

農業協同組合新聞さんの記事。

2020年12月からの大雪で、東北・北越地方を中心にハウスや畜舎などの倒壊など、多くの被害が発生。

早期再建に向けた支援策が決定されれた。

ハウスの早期再建など大雪被害に支援策決定-農水省
2021年2月3日

農林水産省は2月2日、冬期の大雪による被災農業者への支援対策を公表した。共済金等の早期支払いや長期・低利の農林漁業セーフティネット資金などで経営再開を支援する。

2020(令和2)年12月からの大雪で東北、北陸地方を中心に北海道、関東、東海、近畿、中国、四国、九州でも農業用ハウスや畜舎などの倒壊、果樹の枝折れ、倒伏など多くの被害が発生している。

今回の支援対策では一日も早い経営再建に向け、▽被災した農業用ハウスや畜舎などの再建・修繕と、併せて行う撤去に必要な経費、▽果樹の枝折れの修復や倒伏にともなう植替えに必要な経費、▽農産物被害にともなう追加的な防除・施肥、種子・種苗・融雪剤などの確保に必要な経費を支援することなどが柱。また、周辺の育苗施設から被災地域へ水稲などの種苗を融通するための輸送経費も支援する。

被害が1万1000件を超え、被害額が70億円にのぼっている農業ハウスの再建・修繕への支援の1つは、持続的生産強化対策事業(産地緊急支援対策)を活用する。農業者が組織する団体が支援対象で3戸以上の農家が支援対象。自力施行を想定しているため施行費は支援対象外だが、資材費を2分の1補助する。被災したハウスの処分費用も対象(解体費用は対象外)で被災したハウスの補強や融雪パイプの導入も対象となる。
市町村が事業主体となり、人・農地プランで中心的経営体に位置づけられた担い手が支援対象となるのは、強い農業・担い手づくり総合支援交付金(地域担い手育成支援タイプ)の活用。整備費の10分の3を国が補助する。補助上限額は1経営体あたり600万円。被災ハウスは優先的に採択するとしている。

いずれも支援対象となるのは園芸施設共済や民間の建物共済、損害補償などに加入することが要件となる。

強い農業・担い手づくり総合支援交付金のうち、被災産地施設支援対策として対象とするのは、乾燥調製施設の再建・修繕を支援するほか、被災した農業者の農地にJAやJA出資法人のような農業者団体が耐候性ハウスを建設し、被災農業者にリースする場合も対象となる。

低コスト耐候ハウスは、骨組みに鉄骨や角パイプをハウスで、接合部分の改良によって従来の鉄骨ハウスよりコストを抑え、しかも耐候性を向上させた。耐雪重は50kg/m3だという。整備費用は1100万円~1500万円/10a。

農水省によると2019(令和元)年の台風15号ではパイプハウスは被害を受けたが、低コスト耐候性ハウスに被害はなかったという。

この事業を利用し農業者自身が整備した場合は事業費の2分の1が初年度に補助されるが、JAやJA出資法人が整備して農業者に貸し出す場合は、リース期間中の分割となるため、初年度負担を大幅に減らすことができる。
果樹産地の再建に向けては、必要な融雪剤や樹体の修復用資材の確保に必要な経費や、果樹棚の再建(撤去費用も含む)に必要な資材の確保に必要な経費の2分の1支援を行う。

また、植替えを行う園地には以下のような支援を行う。

慣行樹形の場合、りんご、ぶどう、おうとう、なし、もの等は10a17万円、かんきつ類等は同23万円。

省力樹形の場合、りんごの超高密植栽培には10a73万円、新わい化栽培には同53万円を支援する。
ぶどう、なし、もも等の根域制限栽培には同100万円、かんきつの根域制限栽培には同111万円、なしのジョイント栽培等には同33万円を支援する。
植替えで生じる未収益期間に対しては、幼木管理に必要な肥料・農薬代など10a22万円を支援する。

農林水産省は万一に備える園芸施設共済や、品目ごとではなく農業者の収入全体を対象として、自然災害による収量減や、価格低下などの収入減を一定程度、補てんする収入保険への加入を呼びかけている。