耐寒バナナにビニールハウス活用

耐寒バナナのブランド化の記事。

耐寒ビニールハウスが注目を浴びている。

 

南箕輪「耐寒」バナナ産地に ブランド化を夢に生産態勢強化

初めて実ったバナナを手にする伊藤さん
南箕輪村南原で農業生産法人「フェニーチェ」を経営する伊藤善明さん(67)が2年前から試験栽培を続けてきたバナナが今夏、初めて実を付けた。寒暖差の激しい環境での成功体験を励みに、今秋から生産態勢を強化する。新たなブランドを確立する夢に向け、一歩を踏み出した。

熱帯地帯が生育に適しているとされるバナナ。伊藤さんは気温の低い環境で生産している国内の事例を知り、2018年10月、耐寒性に優れた高さ約30センチの苗を2本、県外メーカーから購入した。19年春、追加購入した苗を含む計12本を、標高750メートルほどにある村内のビニールハウス内へ。1本を地植えし、残りの11本は鉢植えで育てた。

全農県本部(長野市)果実課は「県内農家でバナナの取り扱い実績はない」とする。伊藤さんはインターネットなどの情報を頼りに独自に用土をつくり、夏と秋の間は毎日、欠かさず水を与えてきた。冬場はビニールハウスをシートで覆って気温を一定に保ち、低コストでの栽培方法を追求してきた。

「感動したよ」。8月10日朝。いつも通り水やりにハウスへ赴くと、地植えした苗に25個のバナナが青々と実っていた。収穫は11月で試食に回す。今後はハウスに暖房設備を導入するほか、株分けした苗を敷地の広い別のハウスでも栽培。来年度、村内の直売所などで販売する計画だ。

会社経営の傍ら、農業生産法人を立ち上げたのは05年。主力のパセリとニンジンの生産が軌道に乗る中、「県内では聞いたことのないバナナの商品化を成し遂げたい」との向上心が、挑戦を後押ししたという。村のマスコットキャラクターにちなんだ「まっくんバナナ」の商品名で販売し、地域で親しまれる果実になる日を夢見ている。