ソーラーパネルの下で栽培される作物の実態

日本農業新聞さんの記事。

 

太陽光発電のパネル下で栽培される作物に関する記事。

これはなかなか勉強になる。

 

2022年4月10日
営農型太陽光発電 栽培「観賞用」が3割 パネル設置で作物転換 農水省調査

優良農地への波及懸念も

ソーラーパネルを農地に設置する営農型太陽光発電で、パネル下で栽培される作物の3割をサカキなどの観賞用作物が占め、最多に上ることが農水省の調べで分かった。パネル設置時に作物を変更する割合は6割超に上り、その際、観賞用作物に転換する例が目立つ。少ない日照でも育ちやすい特性から選ばれているとみられる。一方、「生産性の高い農地にも観賞用植物が広がっていないか」と課題視する声もある。

2019年度末時点の営農型太陽光発電の件数2591件の状況について、県や市町村の農業委員会を対象に調査した。

パネル下の作物は、サカキやシキミなどの観賞用作物が786件で、全体の30%を占めた。野菜・芋類が18%、ミョウガやフキなど日陰でも育ちやすい野菜が16%、ブルーベリーなど果樹が14%、米や麦、大豆、ソバなどの土地利用作物が9%と続く。

パネル設置に伴い、従来の作物を変更した件数は全体の64%、1664件に上る。

観賞用作物の76%も、パネルの設置に伴って植えた。日陰でも育ちやすい野菜は80%、野菜・芋類は76%に上った。野菜・芋類は「小松菜やネギなど、日照が少なくても比較的育ちやすい作物の導入が進んでいるとみられる」(同省)という。

営農型太陽光発電は、パネル下の作物で、地域の平均単収の8割以上を確保することが要件。生産現場では、少ない日射量でも生育に支障が少ない作物ならば、要件を確実に満たせるとの判断もあるようだ。

一方、同省の営農型太陽光発電の望ましい在り方を探る有識者検討会では「本来、野菜が育つはずの農地で、観賞用植物を植える事態になっていないか」と懸念する声も出た。

パネルの設置やその後の発電を専門の事業者に任せるケースでは「売電収入が主な目的で、営農に関心の薄い事業者に勧められ、サカキに転換する農家も増えている」(自治体関係者)との指摘もある。